どうして、家庭教師が必要なのか? について、御家庭で考えて欲しいこと(長文です)

唐突ですが、私の教室長時代、また医学部予備校講師として、

様々な親御さん、お子さんに会ってきた経験をいかして、家庭教師を決められる際に

一体何が大切なのか?といった考えをお伝えしたいと思います。

 

 

まずは、「なぜ家庭教師が必要なのか?」といった部分から考えて欲しいのです。

 

 

よくある誤解が、「家庭教師を付けたから、もう大丈夫」といった考えです。

 

 

一度、指導を受けて、すぐにその内容の理解や成績が上がるようでしたら、

学校の授業でも理解出来たり、成績が上がっていると思うのです。

 

 

「家庭教師を付けた後にも先生に任せっきりにせず、家庭でできること」を一緒に考えて欲しいのです。

せっかく、お金を出しているわけですから、効果を出し成績を上げて欲しいと、

私は”本気で”思っています。

 

 

そして、勉強の仕方をしっかり定着させてもらえれば、家庭教師冥利にも付きますし、

「もうお子さんだけでも、ちゃんと勉強出来ますね。」とお伝えし、身を引きたいと思っています。

 

 

家庭教師を考えられる際の、当面の目的は、「子供の成績を上げること」と思います。

しかし、そればかりでは本当に子供のためにはならないと思うのです。

 

 

子供さんの本当の意味での成長を考えるなら、「一人で勉強できるようになること」が一番だと思います。

 

 

一人で勉強をできるようになるということは、勉強することの”意味”を子供さんに伝え、

勉強の「やり方」・「習慣」を学ぶということが大事です。

 

 

家庭教師を依頼される際も、親が「やらせたいだけ」で家庭教師を決めないことです。

 

 

本人がやる気ではない、あるいは塾や通信教材など他の方法を熱望しているのに、

無理やりやらせても効果がなかなかないと思います。

 

 

例えその状態で始めたとしても、長続きしませんし、やる気がないのですから、

勉強が進まず成績など伸びるはずもありません。

 

結局は時間とお金の無駄になりかねません。

これは、本当にもったいないことと思います。 

 

 

こういう場合は、本人を御家庭でしっかり納得させてから始めるしかありません。

成績を上げるのに、家庭教師は良いらしいというような曖昧な話では、

今の子供は納得しないと思います。

 

 

まず親御さんが納得のいく説明をしっかりできるよう準備して、説得をする必要があります。

 

 

なぜ必要なのかという明確な理由を話してあげないと、うまくスタートできないでしょう。

 

 

まず、成績が伸びない原因をしっかり探る為に、子供と話をしてください。

 

 

原因をはっきりさせておけば、家庭教師を頼む前に対策として示すことができ、

本人も納得の上進めていけるのではないでしょうか。

 

 

本人にやる気がないのに、親だけが話しをどんどん進めていくのも失敗をしやすいケースです。

 

 

例えば、以下のような失敗ケースを紹介します。

子供自身は勉強嫌いで、家庭教師を付けられることに納得していません。

無理矢理親に言われ、止む無く承諾したものの気乗りがしていないという状態です。

 

 

例えば、教師が次の訪問までに宿題を出したとします。

本人にやる気がありませんので、大してやってこないことが続きます。

 

 

親御さんの説得も空しく、あまりに言うと辞めると言い出しそうで、強くも言えません。

先生の方から強く言ってもらうように頼みますが、

私どもにしてみれば、あまり強く言うとさらに子供さんが勉強嫌いになるかも?と言いにくい状態です。

当然のことながら、うまく説き伏せることはできません。

 

 

例えると、病気で来られた患者さんに、

「このお薬を、毎日朝昼晩続けて飲んでいただけたら、治りますよ。

ただ、飲み忘れると効果が薄くなるので、忘れず定期的に飲んで下さい」とお伝えしても、

薬を飲まない患者さんには、医師が出来ることは限界があると思うのです。

 

 

そこで、御家庭から医師に「薬をちゃんと飲むよう、先生から伝えて下さい」と、

依頼されることもあるかと思いますが、

薬を飲む必要性や大切さは伝えることが出来ても、患者さんとずっと一緒にいるわけではないので、

結局、「薬をちゃんと飲むという習慣付け」は本人の意思や御家庭のご協力次第なのです。

 

 

家庭教師も一緒で、やるべき宿題、勉強方法、どうして勉強した方が良いのか?などはお伝え出来ますが、

それをやるかやらないかは、本人の意思や、御家庭のサポートによって

「毎日の正しい勉強の習慣付け」がどれだけ出来るか次第だと考えます。

 

 

宿題を行わないと、勉強の習慣は付きません。

 

 

家庭教師の時間だけ問題を解いていくだけでは勉強量が少なすぎて意味がなく、

家庭教師がいない日に復習を行うといった勉強の習慣を付けることが成績アップの近道です。

 

 

毎日少しでも問題をといたり、暗記学習をしたりしないと成績アップに必要な知識が蓄積されません。

 

 

宿題はそれだけ大事なものですので、やらないことは大きな問題となり、

そもそも家庭教師を付けている意味がなくなってしまいます。

 

 

「薬はきちんと飲まないけど、病気は治したい」と通院をされている患者さんや御家庭と、

同じ感覚に思うのです。 

 

 

解決策としては、始める段階でしっかりと家族会議などをして本人に納得してもらうことです。

 

完全に納得していなくても、頑張って成績を上げるように努力するとしっかり約束をして

勉強を進めていくことが大事だと思います。 

 

 

家庭教師を最大限に使って、成績を上げるために一番必要なこと。

それは、「勉強習慣」を付けることです

勉強というのはほとんどが暗記ですので、毎日でも繰り返し予習・復習していくことが大事です。

 

 

一回覚えたと思っていても、残念ながら人間の頭は記憶を忘れるようにできていますので、

忘れる前にもう一度記憶を整理したり、覚えなおしたりすることが必須です

 

 

では、そもそもその「勉強習慣」を付ける為にはどうすればいいでしょう。

その為には、3つの大切なポイントがありますので、以下それを紹介していきます。

 

(1)褒める、(2)管理する、(3)約束するというポイントがあり、

それぞれのやり方や考え方があります。

 

 

(1)褒める として、

 

例えば、家庭教師の先生が出した宿題を見てほしいと頼まれた時、

正解の部分があればしっかり褒めてから不正解の部分を訂正していくようにすることが一番いいやり方です。

 

 

逆に、責めるところから入ってしまうと、かなりモチベーションが下がってしまい、

その後の勉強に支障が出ます。

まず褒めることを大前提にしていくことが、その子のやる気を育て、

褒められる為に頑張って勉強に取り組むようになります。

 

 

(2)管理する として、

 

例えば、先生が課題(宿題や予習・復習)を指示した時に、

しっかりやっているかどうかは次の授業の時にしか分かりません。

 

 

課題をチェックし、やってきてくれなかった場合は当然生徒に注意しますが、

また次の授業までやっているかは不安なまま一旦帰ります。

 

 

いわば、課題を与えてから次回までには空白期間があり、そこで勉強をしているかどうかというのは

どうやっても先生の目が届かない部分なのです。

 

 

勉強の習慣というのは、先生が教えている授業中に付くのではなく、

その空白期間中にしっかりできているかというのが一番大事です。

 

 

となると、常に生徒の側にいる親御さんの助けが必要です。

いわゆる管理サポートをしてほしいということです。

 

 

先生の指示通りに課題を行っているかどうか、たまに見てあげてください。

 

 

嫌がる生徒さんもいるかもしれませんが、これは非常に大切なことですで、確実に行った方が効果は出ます。

「今日の課題は大丈夫?」など、簡単な声かけをするだけでもだいぶ違いますのでやってみて下さい。

 

あまりに宿題をされないようでしたら、お子さんに

「宿題が出来ないなら、家庭教師の先生に来てもらっても、成績上がらないだろうし、

先生に来てもらうの、やめようか?」くらいは、言われてもいいと思っています。

 

 

なぜなら、宿題をせずに成績が上がる子は、ほとんどいないからです。

ですので、宿題をされない生徒さんに家庭教師を付けるのは、本当にお金がもったいないと思います。

 

 

宿題を行うといった定期的な勉強が望めないような様子を感じたら、逆に私の方から、

「今のままでは成績が上がらないと思いますので、申し訳ありませんが、

家庭教師を辞退させてください」とお伝えするようにしています。

 

 

「宿題や定期的な勉強を行わないと、成績アップはまず望めない」という点に関しては、

生徒さんや御家庭には強く認識してほしいと思います。

 

 

(3)約束する として、

 

これは非常に簡単な事なのですが、例えば先生から出された課題を

しっかり実行していくことを約束させるというようなことです。

 

 

あるいは、定期テストの点数を何点以上取るとか、どの学校に受かるとか、

そのような「目標」を約束した上で授業を受けさせるようにしてほしいのです。

 

 

生徒の心に訴えるような拘束力を「約束」というものは持っています。

これをやるのとやらないのとでは、生徒の目的意識がまったく違ってきますし、

子供は明確な目的を示された方がなんとなく勉強をしているというよりはやりやすいと感じます。

 

 

こういうことを繰り返していき、最終的には「一人で勉強できるようになること」を

目標にすべきだと考えています。

 

 

一人で勉強をできるようになるということは勉強の「やり方」・「習慣」を学ぶということです。

 

 

勉強をするのは本人なのですから、

結果的には自分ひとりで「自主的に」勉強ができるようにならなければいけません。

 

 

家庭教師から勉強の「答え」ではなく、「やり方」を学ぶことができれば、

本当の実力がついたと言えるでしょう。

 

 

この文章に共感を持っていただける御家庭でしたら、私は喜んで家庭教師に伺わせていただきたいと思います。

 

 

そして、生徒さんが勉強の「やり方」を学んでくださった御家庭からは、

私は身を引かせていただき、生徒さんが独力で勉強を進めていけるのがベストと思っています。

 

 

家庭教師は勉強すべき内容や、勉強方法、どの教材で勉強するのがいいかなどは、

生徒さんに伝えられますが、それをやるかやらないかは、結局本人次第。

 

 

もっと言えば、その生徒をいかに納得させてくれるか?といったご家庭の御協力次第とも言えます。

 

 

「家庭教師をつけたから、簡単に成績が上がるものではない」ということを、

少しでも御理解いただけたら幸いです。

 

 

この文章を読んでいただいたことで、一人でも多くの生徒さんの成績が上がり、

勉強の仕方を自分で考えられるお子さんが増えることを希望し、以上記させていただきました。